股関節の詰まり感とは
「股関節の詰まり」と聞いても、ほとんどの方はなんだそれは?と思うかもしれません。
しかし、「もしかして自分の症状かな?」とピンとくる方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
もし、股関節に痛み・違和感を感じておられるのであれば、もしかするとこの「股関節の詰まり」かも知れません。
症状としては、ストレッチや運動時において、股関節を内旋もしくは外旋動作をする際に、股関節前面に詰まり感を伴う痛みが出ます。
競輪選手であればペダルを引き寄せる時、野球選手であれば投球前に軸足に「ため」を作る時、もしくは投球後に体を捻る動作時などに、股関節前面につまり感を感じます。
日常生活の中でも、車の乗降や階段昇降などのちょっとした股関節の動きで気になる方もいらっしゃいますので、必ずしもスポーツをしている人だけがなるというものではありません。
原因
「股関節の詰まり」は、お尻周辺の「深層筋」が硬くなることによって、関節のかみ合わせが微妙にずれたり、「大殿筋」の筋出力が低下(うまく使えていない状態)し、正常な関節の動きができなくなることで発生していることがほとんどです。
図1 深層筋
図2 大殿筋
関節には「転がり運動」と「滑り運動」というものがあります。下の動画は肩関節のものですが、股関節もこれに近いと考えて下さい。
この、「転がり運動」と「滑り運動」に支障をきたしていることが、股関節の詰まり感となって現れます。
症状のプロセスをまとめますと、以下のようになります。
- 深層筋が硬くなり股関節前後でアンバランスが起こる。
- かみ合わせが前方に微妙にずれる。
- 関節の滑り運動がうまく出来なくなり股関節前方でインピンジメント(衝突)が起こる。
- 大殿筋の働きが弱まる事で股関節のすべり運動にも影響が出る。
- 股関節前面につまり感・痛みが出る。
当院の施術方針
どのような角度で痛むのか、まずは疼痛誘発動作で確認し、原因(拘縮)となっている筋肉を特定します。
深層筋は指圧などが届きにくい筋肉ですのでインディバ加温を行ない、深部を温めてほぐします。次に表層から手でほぐす施術を行ないます。
股関節周囲筋がある程度ほぐれましたら、次は股関節のすべり運動をスムーズに行なえるように詰まっている股関節に「あそび」を作りながら可動させる「トラクションストレッチ」を行ない、正常な股関節の後方すべり運動に近づけます。
トラクションストレッチは、「牽引しながらストレッチをする」という特殊な方法になりますので通常のストレッチとは全く異なります。残念ながら、ご自身で実施できるタイプのストレッチではありません。
1回目の施術で全ての痛みを取り切れる訳ではありませんが、ほとんどの方は痛みなく動かせる範囲(可動域)が広がり、改善しています。